中国の顔認証はここまで広がっていた

こんにちは。セルジオ筑後です。
またまた中国に行ってきました。

 日本有数の田舎町は、世界最先端を行くメガロポリスに繋がっている。

 深セン市の発達っぷりと香港のインドっぷりを十分に堪能してから4ヶ月俺は再び上海の地に降り立った。

 今回利用したのは佐賀空港、田園風景の中「ルート66」ばりの一本道を車でひたすらまっすぐ走り、無料の駐車場に車を停める。これから3時間後、俺は世界経済の中心に足を踏み入れるのだーー。

 入国カウンター手前で指紋を登録する。

 日本では長らく続いている指紋採取だが、中国もついに去年から指紋採取システムを導入したのだった。
 (むしろ何故今まで導入しなかったのだろうか…)

 パスポートを読み込ませた後、ATMのような機械の、ガラス張り部分に指を押し当てる。日本では人差し指一本の登録で済むが、中国の場合は人差し指から小指まで4本だ。登録が終わると、ご利用明細よろしく「OK!」と印刷されたペラペラの紙が出てきた。これを持って入国ゲートへ行けということらしい。

 入国カウンターでパスポートを提示する。

「カメラ、カメラ」

 入国審査官がカメラの方を向くよう指示を出した…が、写真を撮るだけではない。日本でも一部報道があったように、中国では顔認証システムがとても進んでいる。このシステムにより、ほぼ確実に本人かどうかを確認できるようになっているのだ。

出国スタンプOK、入国カードOK、
 「!?」

 入国管理官は突然驚いた表情を見せ、何度も俺の顔を…いや頭を見返してきた。

悪かったなハゲで!

ここ数年で急激に頭皮の環境破壊が進んだ俺は、この時思い切って丸刈りにしていたのだ。人を頭で判断するんじゃない。なんのための顔認証だ。写真には映らない美しさでも見てるのか。

 入国管理官から顔とパスポートを5回照合され、ようやく入国ゲートをパスできた。ゲート横の画面には、「指紋OK、顔認証OK」と表示されている。

髪型が変わっても顔認証はちゃんと働くはずなのに。
人を髪の毛で評価するのはやめよう。

 日本ではディストピア的管理社会といった語調で語られる顔認証システムだが、それは我々が日本人で、顔認証システムを導入しているのが中国だからだ。

 日本人は中国を管理社会として見がちだが、中国はほんの20年前まで、戸籍管理にすら問題を抱えるレベルだったのだ。出生や死亡の情報を正確に把握できなかったり、出生届の生年月日が旧暦になっていてそのまま戸籍登録されたり、また様々な事情で無戸籍者が発生したりと、むしろ日本の方が完全な管理を行っていた。

これを改善するために中国では1996年に、16歳以上の全国民へ、日本で言うところのマイナンバーが付いた身分証を配布し、また2003年には身分証をICチップ付のものに変更してデジタル管理ができるようにした。顔認証システム導入もこの流れだ。

つまり顔認証システムは、個人情報を把握してプライバシーを無くそう、ではなくて、公共サービスを国民全体に行き渡らせようとした側面が大きいのである。デジタル化しなくてもほぼ完全な管理が出来ている日本だからこそ、「よけいな個人情報を記録するな」となるわけで、中国では戸籍管理の改善から来るメリットの方が大きいのであるーー。

 などと地下鉄2号線に揺られながら柄にもなくまじめな事を考えていたら、いつの間にかホテルの最寄り駅に到着していた。実は今、手持ちの人民元がほとんど無い。確かずいぶん前、銀行に定期預金を預けていたはず…。

せっかくだから下ろしていこうと思い、銀行に入って椅子に腰掛けた瞬間、スーパーマリオワールドのブロックみたいな顔をした謎のロボットがスススススススッとこちらに寄ってきた。

スーパーマリオワールドのブロックみたいな顔をした謎のロボット
スーパーマリオワールドのブロックみたいな顔をした謎のロボット

…なんだ、こいつ?と、次の瞬間!

突然フレンドリーに挨拶して来ましたよこのロボ。
突然フレンドリーに挨拶して来ましたよこのロボ。

「にーはお!」

 突然フレンドリーに挨拶して来ましたよこのロボ。こいつ、ひょっとして会話ができるのか?

「名前は?」と聞いてみる。

 「我是小龍人!」

 どうやら小龍人という名前らしい。このセンス、いかにもロボな名前だ。ひょっとして、外国語も通じるのかな?

「こんにちは!ハロー!アニョハセヨ~!」

 「…」

 すまねぇ、外国語はサッパリのようだ。しかしせっかくだし色々聞いてみよう。
「歳はいくつ?」
「好きな食べ物は?
「米中貿易摩擦が日経平均株価に及ぼす影響について…」

「&%#!”*$”・@?>¥!」

 龍くんは何かを必死に訴えていたが、正直何を言っているのかわからない。俺の発音が不正確だったのか、言わんとする事が伝わらなかったようだ…。

 俺の順番が来た。彼(?)ともそろそろお別れだ。俺がバイバイ、と手を振ると、龍くんは「再見!」と言い残して近くの子供のところまでまたススススススッと移動して行った。足元にルンバでも付けておくと、掃除もこなせるマスコットとして更に活躍することだろう。

また会おう龍くん、その時までに日本語を学習しといてもらえると助かる。

 

 さくっとお金を下ろし、改めてホテルまで向かった。さっき確認したが、銀行のATMが顔認証対応になっていた。

ATMの顔認証
顔認証が必要な銀行のATM

カードは必要なようだが、顔認証さえあればパスワードを盗まれるリスクも無くなるだろう。

ホテルに到着しチェックインする。
「カメラを見てください」
どうやらホテルでも顔認証が必要らしい。フロントが用意したカメラを見つめる…が、フロントの女性は何を思ったのか、急にカメラを引っ込めてPCをチェックし始めた。俺は早くホテルの部屋で休みたいんだ。

カメラを止めるな。

「なんか顔認証が作動しないんですよ。もう一度試しますので、もう少しお付き合いを…」

 だから頭を見ながら喋るなって!髪はなが~い友だち、顔を構成するパーツの一部だということを(心に)痛いほど叩き込まれながら、俺はホテルのフロントで5分間ほどカメラとにらめっこをし続けるのであった…。

 

 つづく

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